日本原燃六ヶ所再処理工場視察報告

国民民主党横浜市会議員団は、2025年12月23日、青森県六ヶ所村にある「日本原燃六ヶ所再処理工場」を視察しました 。
私たちが日々当たり前のように享受している電力。その安定供給と脱炭素社会の実現を両立させるためには、原子力発電に伴う「高レベル放射性廃棄物の最終処分」という課題から目を背けることはできません 。
本報告書を通じて、市民の皆様と共に、持続可能なエネルギー政策のあり方について議論を深めていければ幸いです。


視察日: 2025年12月23日
視察場所: 日本原燃六ヶ所再処理工場
視察者: 国民民主党横浜市会議員団

1.視察の目的

我が国のエネルギー政策における「S+3E」(安全性、経済性、環境適合、供給セキュリティ)の観点から、原子力発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分問題は避けて通れない最重要課題である。 本視察は、地層処分の技術的安全性、現在進行中の文献調査の状況、及び将来世代に対する負担軽減の取り組みについて調査・確認を行い、大都市横浜の議員として、エネルギー消費地側の立場から本事業への理解を深めることを目的とする。

2.視察内容の要旨

(1) 高レベル放射性廃棄物と核燃料サイクルの現状

日本は過去約60年間の原子力利用により、既に2,500本のガラス固化体を保有しており、将来的に再処理が必要なものを含めると約27,000本相当に達する。六ヶ所村での再処理事業により、使用済み燃料の95%をリサイクル可能とする一方、残る5%の廃液を安定化させた「ガラス固化体」の最終処分地の確保が急務となっている。

(2) 地層処分における技術的信頼性と安全性

地層処分事業は、地下300m以深の安定した地層に「多重バリアシステム」を構築することで、数万年にわたる放射性物質の隔離を図るものである。

  • 多重バリア: ガラス固化体、金属製オーバーパック、ベントナイト緩衝材の人工バリアと、岩盤による天然バリアを組み合わせる。
  • リスク評価: 全ての容器が破損するという極めて保守的なシミュレーションにおいても、年間被ばく線量は2マイクロシーベルトと推定され、国際基準(300μSv)や日本の自然放射線量(2,100μSv)と比較して十分に低い水準であることが示された。
  • 自然災害対応: 火山・活断層を避ける立地選定に加え、地下は地上に比べて地震の揺れが3分の1から5分の1程度に低減される物理的特性を確認した。

(3) 社会的合意形成とプロセス

最終処分法の規定に基づき、文献調査、概要調査、精密調査の3段階(計約20年)を経て選定が行われる。

  • 地方自治体の意向: 各段階への移行時には必ず首長(市町村長・知事)の意見聴取が行われ、反対がある場合は次段階へ進まないという透明性が担保されている。
  • 可逆性と回収可能性: 将来の技術革新(放射能低減技術など)に対応できるよう、操業期間内であれば廃棄物を取り出し、処分方法を変更できる「可逆性」が維持されている。

3.所見

本視察を通じ、地層処分が単なる「廃棄」ではなく、高度な科学的根拠に基づいた「環境隔離」であること、そして将来世代の選択肢を残す「可逆性」を有した合理的なプロセスであることを再確認した。
現在、北海道の2町村及び佐賀県玄海町において文献調査が実施されているが、これは一地域の課題ではなく、電力の恩恵を享受してきた都市部を含む国民全体の課題である。横浜市においても、脱炭素社会の実現とエネルギーの安定供給を議論する際、こうしたバックエンドの問題に対する市民の理解と共感を得る努力が不可欠である。
本団としては、今後も科学的データに基づいたエネルギー政策の推進を求めるとともに、地方と都市部が共に持続可能な社会を築くための議論を主導していくべきと考える。